愛媛県今治市玉川町の楢原山にあった奈良原神社

奈良原神社
この先に奈良原神社ならはらじんじゃがあるんじゃが、よう進まんかったんじゃ。

 楢原山ならばらさんと奈良原神社 ツーリング紀行文

愛媛県今治市玉川町の楢原山ならばらさんにあった奈良原神社。ふもとにある鈍川温泉郷は今治藩の湯治場とうじばとして栄え現在に至る名湯である。楢原山(標高1041m)の周りには東三方ヶ森ひがしさんぽうがもり、南三方ヶ森、西三方ヶ森、北三方ヶ森、四つの山が鎮座する。

三方とは、神事につかうお供え物をのせる台を意味し、森は「杜」で神様のいる意味である。このことからも分かるように楢原山は、かなりの信仰のあった場所である。開山(創始)は飛鳥時代(689年)役行者えんのぎようじや修験道の開祖を迎えて創建したものである。鎌倉時代からは山岳修験の霊山となり、多くの行者が常に常住している。

南北朝時代、北朝方によって都を追われた長慶天皇ちょうけいてんのうが追手の目を逃れて楢原山に一時身を隠したと伝わる。その後の長慶天皇は久米や湯山を転戦、最後は湯山の激戦で戦死、東温市牛渕の浮嶋神社うきしまじんじゃに葬られた。長慶天皇の御霊は奈良原神社にも合祀されている。牛や馬の背に乗って入山されたという長慶天皇伝承は各地に広まり江戸時代以降は牛馬の守護神として広く崇敬を集める。

昭和9年、発掘された九輪塔くりんとうや出土品は長慶天皇にまつわるもので、現在国宝として玉川現代美術館に移管展示される。奈良原神社の崇敬は昭和に入っても続き、昭和30年代には奈良原講と呼ばれる信仰結社が400を越すほどに結成されている。農村部から牛馬が姿を消すにつれ、かつてのにぎわいを失い、風雪にさらされた結果、栄華をほこった社殿もついには崩落とつらい事となる。

奈良原神社周辺に住んでいた全員が離村して今治市内に移ることになったため別宮大山祇神社べっくおおやまづみじんじゃ御霊みたまをまつる事となる。楢原山頂の奈良原神社は、平成13年(2001年)鎮座、1300年祭の記念行事のひとつとして再建され現代に至る。飛鳥の昔から多くの人々に崇拝すうはい信仰されて来た奈良原神社、そんな繁栄も衰退していく夢のように幕を閉じるのである。

 今回巡ったルート

結構良い道、車も行ける舗装路。林道なのでそれなりの注意は必要ではある。

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